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非農家出身の31歳・就農4年で130ha超 仲間と共に目指すメガファーム

非農家出身の31歳・就農4年で130ha超
仲間と共に目指すメガファーム

埼玉県の北東部に位置する県内随一の米どころ、加須市。そこに、次世代を担う一人の若き農業経営者がいる。中森農産代表取締役、中森剛志。独立就農からわずか4年で作付け規模を10ヘクタールから130ヘクタールにまで拡大した、いま注目のお米未来人だ。

 

 

中森剛志|TSUYOSHI NAKAMORI

1988年、東京都生まれ。
中森農産株式会社 代表取締役。東京農業大学農学部卒業。在学中より日本農業の未来に危機感を抱き、「日本の農業に一生を賭ける!」を合言葉に活動。全国の有機農産物を中心に扱う青果流通業・飲食業で学生起業。事業の傍ら、政治から農業を変えるべく (一社)国家ビジョン研究会にてシンクタンク活動開始。その後(一社)日本スローフード協会を設立、初代代表理事。日本農業最大の課題は生産分野にあるとの確信から25歳の時に埼玉県加須市へ移住。27歳で稲作農家として独立、翌年法人化。現在130haの農地で米/麦/大豆/さつまいもの生産を行う。

日本の農業を救いたい

──中森さんが農家になろうと思ったきっかけを教えてください。

中森農産代表取締役・中森剛志(以下、中森さん):最初に農業に興味を持ったのは、中学生のときです。社会科の授業で、世界には飢餓で苦しむ人や食べ物を満足に食べられない人がたくさんいることを知り、将来、開発途上国への農業支援に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。

──数ある農業の中でも、なぜ稲作を選ばれたのでしょうか?

中森さん:それは、高校時代、世の中の役に立つために政治経済以外に何の勉強をするべきかを考えていた頃に『自然農法 わら一本の革命』(福岡正信著)の本に出会いました。世界の砂漠化や土壌流出、干ばつなどの環境問題に対して、農業での解決を模索したのが著者です。それは延いては栄養不足・飢餓問題、食糧問題への解決に繋がる挑戦でした。失敗も多くありましたが、食糧供給だけではない力、環境を変え、暮らしを変え、社会を変えていく力が農業にはあるということに気付かされました。
その本と出会ったことで、米作りについてより深く学びたいと思い、東京農業大学農学部農学科への進学を決めました。ただ、そこから食料問題についていろいろと勉強するにつれて、近い将来、日本の農業が危機的な状況に陥るということに気づいたんです。「このままではダメだ! 世界に出て行く前に、まずは日本の農業を立て直す活動に全力を注ごう」。そう思って、日本で稲作農家になることを決意しました。

──実際に就農されたのは、いつですか? また、その後、どのようなステップで作付け規模を拡大されていったのでしょうか?

中森さん:個人事業として一人で稲作を始めたのが、2016年です。水稲10ヘクタールからスタートし、業務用米に特化した生産と販売によって初年度から黒字経営を実現しました。その後、中森農産を立ち上げ、2017年に30ヘクタール、2018年に60ヘクタール、2019年に100ヘクタール、2020年で130ヘクタールと、毎年ほぼ倍増ペースで規模を拡大してきました。経営面も好調で、今では社員が8名に増え、売上高は1億円を超えようとしています。

就農するにあたり、「日本の水田農業を牽引するメガファームの構築」を第一の目標として掲げた中森さんは、この4年間、規模拡大を最優先課題に設定し、積極的に農地の集積を進めてきた。とはいえ、中森さんは非農家出身で、おまけに県外からの移住者だ。一体なぜ計画通りに農地を集め、異例とも言えるハイペースで経営規模を拡大することができたのだろうか?

──就農からわずか4年で100ヘクタール超えを達成できた理由を、ご自身ではどのように考えていますか?

中森さん:要因は2つあったと思います。1つ目が、借り受ける農地の対象範囲を通常よりも広く設定したこと。一般的には半径3キロ圏内で農地を拡大する農家が多いなか、うちでは将来的に拠点を増やす前提で、半径10キロ圏内にまで対象範囲を広げて農地を集積しています。そして、2つ目が徹底した情報の収集です。誰がどの土地を管理していて、誰が農地を貸したいと考えているのか。そういった情報をいち早く入手できるよう、地域で行われる色々な集まりに積極的に参加し、まず地元の人たちとしっかりとコミュニケーションを取ることを心がけました

──農地を安心して託してもらうには、何よりも信頼関係が大切、ということですね。

中森さん:そうですね。僕は就農してすぐに大きな投資や規模拡大を行いましたが、 その時、地元の農家さんたちが親身になってサポートしてくださり、とても助けられました。だからこそ、今度はこちらが地域の信頼に応えて、先輩の農家さんたちが代々守ってこられた命のバトンとも言うべき農地を、次の時代に繋ぐ役割を担いたいと思っています。

経営者の最大の仕事は「ビジョンを語ること」

密なコミュニケーションを取る中森さんの努力は、「外」に対してだけに留まらない。中森農産では一般的な農家と比べて、常日頃から社員とのミーティングに多くの時間を費やしているという。

中森さん:とにかく時間さえあれば、社員全員でミーティングを行うようにしています。なので、うちの場合、雨が降ったらむしろ『ヨッシャ!!』って感じなんですよ(笑)。農作業はできない代わりに、たっぷり時間をかけてみんなと話し合うことができますから。

──ミーティングを行う際に、大切にされていることは?

中森さん:ただ技術的なことを教えたり、連絡事項を伝達するだけでなく、僕が思い描くビジョンを語り、社員に対して自分たちがこれから進む道を明確に提示するようにしています。それは、目標を達成するために自分は何ができるのか、何をすべきなのかということを、社員一人ひとりが考え、自ら行動できる組織を目指しているからで。結局、日本の農業における一番のボトルネックは、リスクをとって成長を目指すプレイヤーが少なすぎると言うことなのだと思います。なので、うちでは会社の経営状況や今後自分たちが何を志し、地域や日本の農業全体に対してどう役に立っているのかを繰り返し伝えるようにしています。経営者の最大の仕事は、そうやって社員が常にモチベーションを高く保てるようにすることだと思っているので。

稲作農業は、この先20年で10倍成長する産業

衰退が叫ばれて久しい日本の農業だが、中森さんに現状を悲観する様子は微塵も感じられない。むしろ「日本の稲作は、この先20年で10倍成長する産業」を力強く語るその言葉からは、そこに復興の可能性と大きなビジネスチャンスを見出していることがわかる。

──中森さんは、以前から「日本の稲作の未来は明るい」と発言されていますね。

中森:はい。稲作は今後、猛烈に伸びる産業だと思っています。日本の稲作はこの30年間、生産性がほぼ横ばいのままで、最新のテクノロジーが全く活用されていないのが実情です。大規模化し、機械が持つ可動性能をフルで発揮できるようになれば、この先20年で生産性は間違いなく10倍成長するはず。僕には、中森農産で、それを証明する自信があります。

──なぜ10倍に成長すると確信されたのでしょうか?

中森さん:日本のインフラを前提条件としたベンチマークはイタリアの稲作であり、イタリアの農業では一人で200ヘクタール前後を耕作しています。平均圃場面積は2ヘクタールで、日本の農地も大区画化によって平均2ヘクタールは達成可能です。現在の先進的と言われる農業法人では、一人当たりの許容面積が20ヘクタール前後であるので、この時点で労働生産性は10倍に成長することが想定できます。また、つくばの特区ではすでに一人で4台の機械を同時に操作する実験が行なわれているように、近い将来、ITとロボットの発達によって一人で複数台の機械を操作できるようになり、生産性はさらに向上するはずです。また、経費を落とすだけではなく、多収で優秀な品種を導入し、加工・流通販売への設備投資を進める事でも飛躍的に生産性は高められるのです。

法人化から4年目を迎えた2020年も、中森さんは「攻め」の姿勢を崩さない。紙マルチ移植栽培による有機栽培米の大量生産に挑む一方、スマート農業を本格的に導入し、さらなる生産性の向上と経営規模の拡大へと突き進む。

──最後に、これから中森農産で取り組んでいきたいことや目標などがあれば教えてください。

中森さん:まず、これまでやってきた麦・大豆に加えて、今年から稲作とは別働隊でさつまいもの栽培を始め、畑の収益化にも本格的に取り組んでいきます。稲作については、できるだけ早く有機JASを取得し、それを付加価値化して社員一人あたり粗利2000万円を超えるビジネスへと成長させたいと思っています。そして、将来的には一人あたり売上1億円・粗利5000万円を達成し、20代で1000万円の給料が貰える会社にしたいなと。僕は、社員の豊かな人生に貢献したいんです。社員こそが会社の宝であり、ひいては、この国の宝ですから。

編集後記
中森さんへの取材を通じて改めて気づかされたのが、ミーティングの大切さ。企業経営において、社員のモチベーションを維持し、個々が自ら考え行動する組織をつくるには、ボトムアップの意思決定が不可欠。それは農業も例外ではなく、中森農産が着実に成長を続けているのも、日々コミュニケーションを密に取りながら社員と課題や目標を共有する、中森さんの対話型リーダーシップが発揮されているからなのだろう。

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