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組織的な農業経営がしたい! 意識革命で農業を今より楽しくもっと豊かに

組織的な農業経営がしたい!
意識革命で農業を今より楽しくもっと豊かに


兵庫県丹波篠山市にあるアグリーヘルシーファームは、経営面積63haを約10名で運営する農業生産法人。今のように通販が一般的になる前から直販サイトを開設したり、スポーツに関わる人に向けた「アスリート米」を売り出したりするなど、フットワーク軽く新しいことに挑戦している会社だ。法人化したことで変わったことはなんだったのか? 稲作への情熱と将来への展望を伺った。

原 智宏|TOMOHIRO HARA

1978年、兵庫県生まれ。

「家族経営になりがちな農業を、産業化したい」という強い思いから、大学時代、父親へ法人化を相談し、卒業後に法人化した現在のアグリーヘルシーファームに2001年で就農。学生時代はサッカーをしながら、夜は居酒屋さんでアルバイト。アルバイトを通じて多くの経営者とつながったことがきっかけとなり、会社運営や販売について学んだ。2006年の27歳の若さでアグリーヘルシーファームの代表となり『土を造り、食を作り、未来を創る』を経営理念に情熱を持って日々農業と向き合っている。

父親に相談した、法人化への道

家族経営だった実家の農業を、法人化したいと父親に相談し、平成13年にアグリーヘルシーファームを設立。現在は、代表として約10名の従業員(役員含む)と共に丹波の農業を支えている。当時大学生だった原さんはどのようにして「法人化」にたどり着いたのか。

──原さんが就農するきっかけを教えてください。

原 智宏さん(以下、原さん):大学に通っている時、父親が有機栽培を始めたんです。興味のある分野だったのですが、「農家」から抜けられていない部分がなんだか嫌で。父親に「法人化しないの?」と相談したんです。そこから、自然と就農への気持ちが向いていきました。

──大学生の頃に「法人化」というアイディアが浮かんでいたことに驚きます。

原さん:実家は、たまにお手伝いさんが来てくれるくらい家族経営の農家だったんです。でも家族経営って代えがきかないし、保険や制度も「働く」観点から考えると自分がそこにいるイメージが出来なくて。大学時代に居酒屋さんでアルバイトをしていたんですけど、そこによく来てくれていた経営者さんたちと話しているうちに、「法人化」という方法があるんだ! って事を知ったのです。今思い返せば、聞いた話をそのまま父親に伝えていたので、農業生産法人としてやっていくことの10分の1もわかっていなかったと思います(笑)。

──それでもお父様は賛成してくれて、平成13年に法人化されましたよね。

原さん:そうなんですよ。もう自分がやるしかない! というスイッチが入りました。きっかけは軽い感じになってしまいましたが、「農業を産業化したい」という強い想いが昔からずっとあったので、今でも最初の気持ちは持ち続けています。普通の会社にできることが、農業ではできていなこと、まだまだたくさんあるんですよね。少しずつ、自分の理想に近づいてきましたが、もし本当に農業がしっかり機能できる組織になったら、どんな産業にも勝てると思っています。

──「農業だから」と、これまで通りのやり方をするのではなく、会社という組織の中で農業を営むというのはできていない方も多い部分だと思います。なかには「補助金や助成金が出るから」などの理由で法人化する人もいますが、原さんの場合は、法人化することこそ農家の意識を変えることができると強く感じたのかもしれませんね。

原さん:これは自分が法人化したから言えることなんですが、「なんとなく法人化いいかな〜」と将来の計画を立てていなかったり、今の家族経営で特に不満がないのなら法人化はおすすめしません。「法人化してどうするの?」という問いに自分なりの答えがあるのなら、やる価値はあるでしょうね。僕も昔は24時間労働しっぱなし! とかやっていた頃もありますが(笑)、それでは仕事って続かないんですよ。アグリーヘルシーファームの代表になってからは、栽培する作物を絞ったり、田植えをしながら別の作業をするチーム体制を組んだり、従業員と「一緒に頑張ろう」という意識が生まれてきたように思います。ありがたいことに一緒に働いているメンバーはみんなポジティブで、同じ目標に向かっている感覚があります。法人化したことで、誰かが怪我をした時などの穴埋めができたり、労働時間の整備をすることで家庭を大切にする時間も確保できたり、会社の利益はオレの物という考えではなく、メンバーみんなで分け合う気持ちになるのです。

法人化したことで、規模は3倍に。3年後には100haを目指す

3年後には100haを目指したいという原さん。現在は、現場での仕事よりも2名の役員と協力しながら経営に力を入れているという。規模拡大への真意を伺った。

──現在の経営規模を教えてください。

原さん:経営面積は63haです。米が50haで、残りが黒豆の栽培です。米は主に「農薬・化学肥料不使用米」「農薬9割減・化学肥料不使用米」「農薬7割減・化学肥料5割減米」「慣行栽培」4つのコシヒカリを育てています。今後、無農薬米の規模は少しずつでも増やしていきたいと考えています。

──元々お茶の栽培もされていたそうですが、今は黒豆と米だけに絞ったんですよね。その理由はなんですか。

原さん:お茶って田植えよりもシビアなんですよ。専用の機械も必要ですし、栽培も難しい。どっちも真剣にやりたい気持ちもありましたが、中途半端でどっちつかずな状態が嫌だったので、僕が代表になってからは、思い切って辞めたんです。黒豆は元々栽培していたのもありますが、大きなコストも掛からず安定的に収穫ができるところが魅力のひとつ。3年コメを育てた田んぼで1年黒豆を栽培すると、田んぼの除菌にもなりますし、黒豆を入れた輪作体系を作ると、お米にいい影響が出るだけでなく、品質の良い黒豆ができるのです。今後、アグリーヘルシーファームでは黒豆がキーになってくると考えています。

──なるほど。ちなみに丹波という土地は、黒豆やお米の栽培とは相性がいいと感じられる土地なのでしょうか?

原さん:もうこの土地には感謝しかないですね、最高です(笑)。標高がそこそこあるので昼夜の寒暖差があって美味しいコメが作れるし、水害や地震も少ない地域なんです。あと近くに源流もあるので、水にも恵まれている。車で数分で街にも出られるので、交通の便もいい。最近は都市開発も進んで、街っぽくなってきちゃいましたけど、残すところは残しつつ、ちょうど良いバランスの丹波であって欲しいという思いはありますね。

──好きな土地で農業を続けられるというのは素晴らしいことですね。

原さん:そうですね。この土地で農業を続けていくためにも、規模拡大は僕らにとって絶対条件なので、3年後100haを目指して進めています。地域でも高齢者が増えてきているし、ひと昔前の価値観で「農業とは……」「稲作とは……」って言ってくるような人ももちろんいます(笑)。でも変わらないことが良いことではないと思うんです。ひとりひとりの意識を変えていきながら、この丹波で農業を守り続けていくことが必要だと考えています。僕もJAの役員をやったり、率先して意識革命に取り組んでいるところです。

──アグリヘルシーファーム のビジョンにはどんな思いがありますか?

原さん:“それは土造りから”全て、自らの手でつくることに「こだわり」を持っています。 “丹波の旬にこだわり、丹波の土と共に生きる”ことを「モットー」にしています。

攻めた農業で、稲作のプロを目指して欲しい

アグリーヘルシーファームでは、早い段階から直販サイトの運営や、「アスリート米」という企画をつくるなど顧客と繋がる仕組みづくりに取り組んできた。これから原さんはどこへ向かっていこうとしているのだろうか。

──アグリーヘルシーファームさんでは、ECサイトも充実していますよね。どんな方が利用されているんですか?

原さん:日本全国から利用がありますね。リピート率も高くて、近所の人からの注文もあるので「配達するのに〜」と思ってしまうほど(笑)。ECについては今後さらに強化していきたい部分です。
また、飲食店さんとか旅館さんなどからも注文をいただくことがあるんですけど、送料だけの問題でお届けできないこともあったので、「このままじゃいけないな」と思い、配達まで自社でやるような仕組みを作ろうとしているところです。

──栽培から消費者への配達まで自社でおこなう理由はなんですか?

原さん:直接消費者さんと繋がれるのってやっぱり面白いんですよね。人とのつながりもできるし、何より自分のお米に責任を持てるようになりますから。「このお米をあの人が食べるんだ」って消費者さんの顔が浮かべば、ほこりまみれの倉庫にお米を置いておくなんて考えられないじゃないですか? それに、近隣の市町村へ配達するのも重さに応じた送料を払ってもらうことがネックになっているのであれば、自分で配達する方が早いですし、良い関係を築いて、消費者のニーズがわかりようになるのです。

──その通りですね。面積も事業規模も拡大してくると、消費してくれる「人」をよく知ることも大事になってくるのですね。そんな原さんは農業の人材育成はどのように考えられていますか?

原さん:僕も、農業大学とかで講演させてもらう機会があるのですが、せっかく大学まで進学しても、就農せずに一般の会社に勤めてしまう人がほとんどなんですよね。地域を超えてでも、農業の担い手は増やしていかなければと常々考えています。またアグリーヘルシーファームに「研修したい」とやってくる方も、積極的に受け入れるようにもしています。
野菜の農家さんは最近、若い人たちが増えてきましたけど、稲作はまだまだ制度などに守られている昔の体質から抜けられていないんですよね。そこから目を覚まして欲しいし、「稲作っていうのは……」というこれまでの常識から脱却して“かっこいい稲作”をみんなで目指せるような世の中にしていきたいですね。もう背中を見て学べの時代ではなく、チームで勉強し、新しいことにもチャレンジしながら、勤務時間も守られている働き方です。

──かっこいい稲作! 確かに野菜と比べると稲作はまだまだ可能性はありますよね。

原さん:あとこの地域は特にかもしれないのですが、兼業の稲作農家さんが多いというのも課題のひとつです。兼業は真剣にやらなくても「食べられる」くらいの儲けはでちゃうので、守りに入る人が多く、新しいことにも挑戦しにくい環境なんです。実際、困っていないんですよね。だからあえて変わる必要もないという意識になってしまっているんだと思います。でも僕はそこをしっかり意識改革していきたいと思っていますよ。関わる人たちが幸せになる、働いている人が不幸になるのはごめんですから!(笑) 農業を好きになってくれる人をひとりでも増やしていきたいですね。

編集後記
若くして就農し、父親から農業を継いだ原さん。たくさんの苦労もあっただろうが、そんなことは口にせず、常に前を向き、笑顔で語る姿に明るい「未来」を感じることができた。原さんのポジティブな活動ひとつひとつが、少しずつ人の心を動かし、10年20年後には小学生のなりたい職業ランキングの上位に稲作農家がランクインしているような“かっこいい稲作”が実現しているような気がしてくる。「次は何をするのかな?」と期待せずにはいられない。

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